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『世間の常識は、体育会系に通用しない』

Yoshiのひとりごと

高校1年生として山形県にいた時。部活の遠征で北海道に向かっていた。

部のマイクロバスで山形から宮城のフェリー乗り場に向かい、太平洋フェリーに乗り込んだ。海の上で一日を越し、翌日のお昼前に北海道の苫小牧に到着。そこからさらに山道を走り続け、最終目的地の帯広に着いたのは日の暮れ始めた夕方ごろだった。

1年生は忙しい。夕食までの間にバスに積んできた荷物をすべて降ろして部屋まで運び、夕食の用意をしなければならない。部屋で休む時間なんて与えられないのが、体育会系の1年生の常識だ。

夕食の時間だって気を抜けない。監督のごはんが無くなったら、「監督、ごはんのおかわりはどうされますか?」と気を利かせる。監督の味噌汁が無くなったら、「監督、お味噌汁のおかわりはどうされますか?」と気を利かせる。

こんな環境で過ごしているからか、自然と気を利かせて行動をすることが当たり前になっていた。

夕食後、明日の予定についてのミーティングが始まり、ミーティングが終わるとフリー時間になる。

ただ、フリーといってもそんなのは僕たちには関係ない。明日のトレーニングで使う練習道具の荷ほどき、他の1年生同士で明日の仕事の確認をする大切な時間なのだ。

荷ほどきと仕事の確認が終わったので各自部屋に戻ろうとしたとき、僕はある段ボールの箱を目にした。「あれ、まだ残っているものがあったか」。段ボールの蓋を開くと、中には大量の「シベールのラスク」が入っていた。

シベールとは山形県で有名なお菓子メーカー。ラスクというフランスパンをカリッカリに揚げて粗目の砂糖がふりかけられているお菓子だ。山形県が発祥のお菓子とも聞いたことがある。

「これって差し入れだよな…?」部屋に戻りかけていたもう一人の1年仲間に確認のため声をかけた。

「多分…A先輩の親がまたくれたんじゃないかな?」A先輩の親はシベールで働いている人らしく、いつも県内の合宿の時にも差し入れで同じくシベールのラスクをくれたりしていたのだ。

「配れ」とかなにも聞いてないけど、配ったほうがいいよな…?

体育会系1年特有の「気を利かせる」習性が働いた。

大量のラスクを箱から取り出し、フレーバーの数、配る部員の数を考えて振り分けた。そして各先輩たちに配って回った。先輩たちは大いに喜んでカリカリとラスクを頬張っていた。

「俺も気が利くようになったもんだなぁ」ここで僕の一日が無事終了した。

かのように思えた。

翌日の夕食後、明日の仕事の確認をしていた1年部屋に「ラスクの入った段ボール、どこにあるか知らねぇか?」と監督が入ってきた。

すかさず僕は「はい!その差し入れは、昨日の夜部員全員に振り分けて配りました!」と気を利かせましたと言わんばかりにハキハキ堂々と返事をした。

すると何故だろう?監督の表情が一変…。監督は衝撃の事実を告げたのだ。

あのラスクの差し入れは、部員の僕たちへの差し入れではなく、北海道の保護者たちへの差し入れだったのだ。

あぁ、道理で多かったわけだ。だって一人5袋とか当たったもん。いつもの倍だもん。

監督は「気ぃ効きすぎなんだよ!!!」と怒鳴り散らし、部屋を出ていった。

「気を利かせること」で怒られたのは後にも先にもこの時が初めてだった。

結局そのラスク事件は、A先輩の親がもう一度北海道に送るので全然いいですよ、ということで丸く収まった。

世間一般では「気が利く」ことは褒められることだと思うし、ある意味「常識」でもあるだろう。

ただ、「世間一般の常識は、体育会系の世界では当てはまらないこともある」ということに気づいたのだった。

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